


黒川智之建築設計事務所が設計した、東京・新宿区の「市谷柳町の集合住宅 ASTILE市谷柳町」です。
大小の建物が混在する都市環境での計画です。建築家は、周辺の街並みと呼応する存在を目指し、単一の塊ではなく“小さな塔状ヴォリューム”に分節して集合させる建築を考案しました。また、複雑な外形は全てが異なる住戸プランの創出にも寄与しています。
敷地は、三方を道路に囲まれた傾斜地であり、周囲には低層の戸建住宅から高層建築まで、大小さまざまなスケールの建物が混在している。本計画は、そうした複雑な都市環境の中に建つ、全15戸の集合住宅である。
「集合住宅」を単一の大きな塊として成立させるのではなく、小さな塔状ボリュームへと分節し、それらを集合させる。この構成により、周辺の街並みに呼応する外観が生まれると同時に、平面的にも断面的にも形態の自由度が高まった。天空率による斜線緩和を活かしながら外形を最適化することで、この自由度をさらに引き出している。
塔状ボリュームによって生まれる複雑な外形は、住戸計画にも活かされている。全15戸それぞれに異なる住戸プランを計画し、開口位置や天井高さ、外部との関係性に多様性を与えた。均質化しがちな都市型集合住宅とは異なり、住戸ごとに固有の居住体験が生まれている。
各ボリュームをつなぐ共用階段は、一般的な折り返し階段ではなく、鉄砲階段を千鳥状に交差させることで、吹抜け状の大きな気積を持つ「立体路地」として計画した。
踊場を階層ごとに互い違いに配置することで共用部面積を抑えながら、光や風を取り込む開放的な階段空間を実現している。踊場は各階で異なる方向へ外部に開かれ、上るにつれて視線の抜けや光、街との関係が移り変わり、路地を立体的に巡るような体験を生み出す。









