




向山裕二+笹田侑志+上野有里紗 / ULTRA STUDIOが設計した、東京・渋谷区の「上原坂道のマンション」です。
都心の住宅街での計画です。建築家は、“自由奔放さと凡庸さが同居する風景”の再評価と更新を意図し、見慣れたものから出発して“過剰に拡大解釈と変形”を行う設計を実践しました。そして、“新たな自然”をつくり出して生活に発見をもたらします。
東京の町並みは、各々の敷地に好き勝手な建物が立ち並び、統一性がないと言われている。
それを好む者も嫌う者も、このカオス性を評価の理由として挙げることが多い。一方で全体としてみると、白、グレー、ベージュや茶色の建物ばかりで、ジェネリックで意思の欠如した、妙に均質な風景にも見える。例えば、理由は不明だがコンクリートにベージュのタイル張りがマンションのスタンダードなファサードだ。
このような風景がいつごろ生まれたのかは不明だが、私たちにとっては既にそこにあった「自然」な存在になっている。
このような自由奔放さと凡庸さの同居する風景を再評価し、更新することができるだろうか?プロジェクトの根底にはこのような問いがある。
地形や町並みとは異なる建築的な存在として、シリンダーや四角柱がグリッド状に並んでいる。これは、ラーメン構造の要素であると同時に、風景、住戸の中に異物として挿入され、その周囲に変化を与えている。
屋外では風景の連続を分割してファサードにリズムを与え、屋内では外観との連続性を生み出しつつ、シリンダーが動線として機能することで地形によって生み出された段差を越えて移動することを可能にしている。
外観の仕上げは、東京の風景から見出される素材──荒いリシン、コンクリート打ち放し、ブロック塀や門扉に見られる「レリーフ」の抽象的反復、「45二丁」という最も一般的な規格のタイルなど──を用いつつ、それらを加工している。
タイルは反射性の高い釉薬を用いることで銀色に輝き、光を屋内に導くリフレクターとして機能する。タイル仕上げが屋内まで連続することで内外のつながりが強まり、空中庭園と組み合わさることで風景が生活の中に入ってくるような感覚が生まれるだろう。
町並みと地形、建築と生活が一体となって新たな風景を生み出す。この集合住宅の試みは、場所の文脈を引き継ぎつつ過剰に拡大解釈・変形することで、それを新たな「自然」として風景を更新し、生活に発見をもたらすことだ。
見慣れたものから出発して再解釈、変形、検討を繰り返す中で、それらはほとんど身体的に統合されていった。このような試みを継続することによって、新しい「自然」としての都市の姿を捉えたいと考えている。








