



青木淳とリチャード・タトルによる、東京オペラシティ アートギャラリーでの展覧会「ほぼ、空」です。
建築家と美術家が協働して制作しました。タトルが提案した三つの要素“柱・バスケット・色の帯”を、青木の“枠組みを外す”計画で館内に配置しています。そして、光と影が質感を生み出して展示室内に“空気”が現れます。
会期は、2026年7月18日~9月23日まで。美術館の公式ページはこちら。
美術家のリチャード・タトルと建築家の青木淳による2人展「ほぼ、空」では、まるで空を仰ぐように斜め上を見上げることが促される。「そら」でもあり「くう」でもある「空」は、なにもない空虚ではなく、光や影、大気に満ちた、微細な変化に富む場である。タトルは、美術作品は“光”であり、ある瞬間に捉えた真実、美しさ、充足感を他者と分かち合う媒体だという。青木は、自らの建築は“空気”であり、人それぞれが持つ異なる価値観や速度を許容する自由な空間をつくることだという。“光”と“空気” ― 世界を満たす現象に準えられる美術と建築が融合したら、どのような空間が生まれるだろうか。
展示室では、タトルが提案した3つのエレメント ― 柱、バスケット、色の帯 ― が、繰り返し現れる。柱はなにも支えておらず、照明器具のようなバスケットは光の代わりに植物を湛えている。木の幹としての柱、枝としての茶色の柱頭、そしてバスケットのなかのモミの葉は、自然の恩寵の象徴だろうか。来場者はこの3つのエレメントに導かれ、斜め上を見上げることになる。
そして青木は、企画展示室、収蔵品展示室、コリドール、ミュージアムショップと、固定した使われ方をしている場の枠組みを外し、それらを境界線のないひとつの有機的な空間にしている。通常、上の階で行っている収蔵品展を下の階の企画展示室のなかに取り込み、企画展は2層にまたがるアートギャラリー全体に及んでいる。青木のキュレーションによる収蔵品展では、野又穫の絵画が展示され、茫漠とした光景のなかに巨大な建造物を描き出す野又の絵画は、美術と建築が交差する本展に溶け込んでいる。また、エントランスを出たところにあるミュージアムショップを館内のコリドールに移し、そこが展示室に替わっている。これにより、美術館の展示室は外に広がることになった。また、展示室で作品に寄り添うように置かれた照明やベンチ、またショップの什器は、過去の展覧会で使用した台座を青木が再デザインしたものである。青木が試みているのは、敷地から建築プランを導き出すように、あくまでこの場で見出したものから、そうと気づかれないくらいささやかに空間を変容させることである。









